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三菱電機、車部品子会社に鴻海から1150億円出資 折半合弁でEV事業強化へ

三菱電機は2026年10月16日、自動車部品子会社の三菱電機モビリティに台湾・鴻海精密工業から1150億円の出資を受け入れ、折半出資の合弁会社とすると発表した。19日の会見では2030年度に売上高1兆円を目指す計画が示され、2027年3月期に約1000億円の減損損失を見込む。

何が起きたか

三菱電機は2026年10月16日、完全子会社で自動車部品を手がける三菱電機モビリティの株式50%を、鴻海精密工業グループの投資管理会社に譲渡すると発表した。譲渡価格は1150億円で、鴻海と折半出資の合弁会社となる。2027年10月中の手続き完了を目指し、2028年3月期に三菱電機の連結対象から外れる見通しで、会社名は三菱電機モビリティを維持する見込みだ。19日には三菱電機本社で記者会見が開かれ、三菱電機の加賀邦彦副社長、三菱電機モビリティの田中和徳社長、鴻海のEV最高戦略責任者(CSO)の関潤氏が出席した。譲渡価格は現在の企業価値3200億円をもとに、契約締結後の資産変動を考慮して2300億円と見積もったうえで算出したという。連結対象から外れることに伴い、2027年3月期決算で約1000億円の減損損失を計上する見込みで、連結業績予想は10月30日に公表される。

合弁の狙いと目標

会見では、三菱電機モビリティが鴻海との戦略的提携を通じて主力事業を強化・拡大し、2030年度に売上高1兆円を目指す計画が示された。2025年度の売上高は8756億円、調整後営業利益率は5.7%で、2026年度は売上高8200億円と減る一方、調整後営業利益率を9.3%に高める。出資比率を50対50とした理由について、加賀副社長は両社が集中して協力する必要があると考え、それぞれがコミットする姿勢を明らかにしたと説明した。鴻海の関CSOは、まず50対50で始めることで意思決定の速度低下を懸念する声もあるが、自分が取締役会に入り担保すると述べた。加賀副社長は、EV化の進展でエンジンのすり合わせ技術を源泉とする競争環境が大きく変化しているとし、両社の強みを生かして自動車産業の主要プレーヤーの一角を担えるとの認識を示した。

両社の強みと補完関係

三菱電機モビリティは、電動パワートレイン、自動運転、車載インテリジェンスの3領域を強みとする。約30年にわたるインバータの量産実績や、車両制御関連製品が1億2000万台以上に搭載された実績、ドライバーモニタリングシステムで世界首位のシェアを持つ点などが挙げられた。鴻海側は、三菱電機モビリティのインバータやコントローラといった電子制御技術とソフトウェア資産を評価した。関CSOは、鴻海が開発スピードや調達力、コスト力に強みを持つ半面、自動車業界の顧客基盤やコンポーネント、制御技術、ソフトウェアが弱いとし、三菱電機モビリティは顧客基盤やブランド力を持つ一方、開発に時間がかかる課題があるとして、相互補完性が高いと説明した。三菱電機モビリティはアイシンと共同でEV向け駆動用モーターシステム「eアクスル」を開発しており、田中社長は鴻海が企画するEVへの採用を目指すとしつつ、アイシンとの協業関係に変化はないと述べた。

企業・産業への影響

自動車部品事業は、ガソリン車向けの発電機で高いシェアを持つ一方、EVシフトを背景に収益性や成長性が課題とされ、三菱電機にとって構造改革の対象だった。鴻海の資本と顧客基盤を取り込む今回の枠組みは、EV向けのインバータや車載ソフトの開発投資を進めやすくする可能性がある。鴻海側は、EVの航続距離を左右するインバータ技術を自社のEV事業に取り込める。ただし、折半出資では意思決定に時間がかかる懸念も指摘されており、協業の実効性は今後の運営にかかる。連結除外に伴う約1000億円の減損は、2027年3月期の業績に影響する見込みで、最終的な業績予想は10月30日の公表内容を確認する必要がある。