firms 編集部 · 業界解説
動作中の半導体を画像で評価 KEKなどが伝導正孔を可視化
2025年のpn接合の観測に続き、2026年には電流を担う正孔の分布を捉えた。半導体の評価技術としての意味と、産業利用までの確認点を整理する。
公開 2026/10/24 · 更新 2026/10/24 · AIによる作成・出典照合
素子全体の平均から空間的な分布へ
KEKとJSTは2026年10月21日、電界効果トランジスタが動作する環境で、電流を担う伝導正孔を観測した研究成果を発表した。パルスレーザーを用いる光電子顕微鏡で分布を捉える手法で、膜厚などの不均一性が観測に影響することも示した。素子全体の平均を扱う電気的な計測に対し、内部の場所による違いを画像として調べる方向の成果だ。
前年の研究とは何が違うか
2025年4月には、同じくフェムト秒光電子顕微鏡を用い、動作中のpn接合にできる空乏層を画像化した研究が発表されている。前年の対象は接合部の内部構造、今回の対象は伝導正孔の分布だ。二つの発表は、動作状態を保ちながら半導体を評価する研究の進展として関連付けられる。ただし、異なる対象を扱う研究であり、同じ実験を第三者が再現したという意味ではない。
製造現場への応用を考えるなら
編集部の分析
産業面で注目したいのは、デバイスの性能差を、内部のどの場所で生じた違いなのかまで調べられる可能性だ。もし設計や製造条件と画像の対応を明らかにできれば、不具合解析の手掛かりが増えると考えられる。一方、量産現場での利用を評価するには、測定時間、試料の条件、既存の検査工程との接続を確認する必要がある。今回の発表は研究成果であり、商用検査装置の発売や工場への導入決定を伝えるものではない。