ソフトバンク子会社のクラウド障害、原因は未診断の外部ソフト脆弱性 IDCフロンティアが対策公表
ソフトバンク子会社のIDCフロンティアは2026年10月27日、ランサムウエア攻撃を受けたクラウドサービスの原因と対策を公表した。社内診断を行っていなかった外部ソフトウエアの脆弱性が悪用されたことが原因で、495の企業・自治体に影響が及んだ。調査では外部への情報持ち出しの痕跡は確認されていない。
何が起きたか
ソフトバンク子会社でクラウドサービスを手掛けるIDCフロンティアは2026年10月7日、第三者からの不正アクセスを受け、自治体・企業向けの「IDCFクラウド」で障害が発生したと発表した。同日午前3時40分ごろに障害が発生し、外部からのランサムウエア攻撃を受けてクラウド管理基盤側から自動的に停止処理が実行された。同社は二次被害やデータ漏えいを防ぐためネットワークを遮断し、侵入経路の特定と代替環境の整備を進めている。契約中の495の企業や自治体が影響を受け、茨城県や東京都小平市、時事通信社、東武動物公園など多数のサイトで閲覧や更新ができなくなった。ニッスイでは物流子会社の日水物流の商品入出荷業務ができない状況になった。
原因の公表
IDCフロンティアは2026年10月27日、原因について、ぜい弱性があるか社内で診断を行っていなかった外部のソフトウエアが悪用されたことだったと公表した。あわせて再発防止に向けた対策も示したとみられるが、資料から確認できる範囲では原因の説明にとどまる。
情報流出の調査結果
IDCフロンティアは10月14日、外部のセキュリティー専門企業を交えた調査の経過を公表した。サーバー内の情報の一部が復元できなくなった一方、操作履歴から外部に持ち出された痕跡はないと明らかにした。サーバーに保存されたデータが外部から照会されたり持ち出されたりした痕跡は確認されず、二次被害も確認されていないとして、外部へのデータ流出は「なかった」との見解を示した。侵入経路など攻撃の詳細については「回答できない」とした。クラウドサービスの復旧の見通しは依然立っていない状況という。
顧客側管理画面への不正照会
調査では新たに、顧客側の管理画面への不正な照会があったことも分かった。48社で企業名や暗号化済みのパスワード、請求情報を閲覧できる画面が照会された形跡があり、うち2社では担当者の個人名を含む可能性があるメールアドレスが含まれていた。同社によると機械的な操作で不正な照会が行われており、照会された情報が外部へ持ち出されたことを示す痕跡は確認できなかった。対象の顧客には個別に通知するとしている。また、被害を受けた495の自治体や企業のうち194の顧客はバックアップ機能を利用しており、データを復元できる可能性があることも分かった。ただ保存データ自体の復旧は困難との見通しを示している。
企業・産業への影響
今回の原因は、社内で脆弱性診断を行っていない外部ソフトウエアが悪用された点にある。クラウド事業者は顧客の重要データを預かる立場であり、自社開発ソフトだけでなく外部導入ソフトも含めた脆弱性管理の徹底が求められる。IDCフロンティアは情報流出の痕跡がないとしているが、保存データの一部復旧困難やサービス復旧見通しの未確定は、顧客企業の業務継続に影響を与え得る。特に自治体や物流業務を担う企業では、代替環境への移行やバックアップ活用の有無が事業継続の分かれ目になる可能性がある。クラウドサービスへのサイバー攻撃は他社にも相次いでおり、業界全体でサプライチェーンを含めた対策の実効性が問われる。