微生物ロドプシンに共通番号「MOナンバリングシステム」 東京大など国際研究グループが開発
東京大学とJSTなどの国際研究グループは、微生物ロドプシンのアミノ酸残基を共通の番号で示す「MOナンバリングシステム」を開発したと2026年11月6日に発表した。実験構造69件と予測構造60件から基準位置を定め、約4万件の配列データの解析と機能未知群の代表構造の検証を通じて幅広い系統に適用できることを示した。成果は2026年11月5日付で科学誌「npj Structural Biology」に掲載された。
何が起きたか
東京大学 先端科学技術研究センターの但馬聖也特任研究員、加藤英明教授、同大学大学院総合文化研究科の岸孝一郎大学院生(研究当時)と、Paul Scherrer InstituteのFlurin S. Hidber氏、Xavier Deupi氏らの国際研究グループは、微生物ロドプシンのアミノ酸残基を共通の番号で示す「MOナンバリングシステム」を開発した。JSTと東京大学による2026年11月6日付の共同発表によると、実験構造69件と構造予測ツール「Boltz-1」による予測構造60件から共通の基準位置を定め、約4万件の配列解析と機能未知群の代表構造の検証を通じて、機能未知群にも適用できることを示した。研究成果は2026年11月5日付(現地時間)で科学誌「npj Structural Biology」に掲載された。研究はJSTの戦略的創造研究推進事業CRESTと創発的研究支援事業の支援を受けている。
背景:配列番号の違いが比較を難しくしてきた
発表では、たんぱく質ごとに異なる配列番号が研究成果の比較を難しくしてきた点が課題として挙げられている。ロドプシンはレチナールを発色団として光情報変換やエネルギー変換に働く膜タンパク質で、微生物ロドプシンはポンプ・チャネル・センサー・酵素など多様な機能を持つとされる。2019年の日本生化学会の総説では、こうした機能の違いを決めるアミノ酸残基が酵素や輸送の研究で議論されてきたことが示されている。MOナンバリングシステムは、配列が大きく異なるロドプシン同士でも構造的に対応するアミノ酸残基を一貫した番号で比較できるようにする試みと位置づけられる。
企業・産業への影響
この成果は現時点では基礎研究的な性格が強く、特定企業の製品や売上への影響が発表されたわけではない。ただし発表は、構造解析・分光学・電気生理学の知見を共通の言葉で結び付け、機能未知ロドプシンの理解や次世代の光遺伝学(オプトジェネティクス)ツールの開発に役立つことが期待されるとしている。光遺伝学ツールは微生物ロドプシンを神経細胞に発現させて光で活動を制御する技術として発展してきた経緯があり、共通番号で機能と構造の対応を整理できれば、研究開発の比較や設計の効率化につながる可能性がある。一方で、実用化や産業利用までの時間軸、対象となる市場規模は今回の資料からは読み取れない。
留意点
共同発表はJSTと東京大学によるもので、同一の発表内容を両者が共有している可能性がある。本記事では両者を独立した裏付けとは扱っていない。また、ナンバリングシステムの具体的な番号の付け方や運用方法、検証の詳細は発表の要旨以上には示されておらず、論文本文の確認が必要である。