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東証、「資本コストや株価を意識した経営」4年目の現状と今後の取組みを公表

東京証券取引所は2026年10月27日、プライム・スタンダード上場会社に2023年3月から求めてきた「資本コストや株価を意識した経営」について、4年目の進捗・課題・今後の取組みを取りまとめて公表した。関連資料では開示企業の拡大やPBR・ROE分布の改善が示される一方、企業と投資家の認識ギャップやスタンダード市場の未開示企業の多さも課題として挙げられている。

何が起きたか

東京証券取引所は2026年10月27日、「資本コストや株価を意識した経営」に関する4年目の現状と今後の取組みについて公表した。東証は2023年3月からプライム及びスタンダード上場会社に対応を求めており、今回で4年目を迎える。東証は、多くの企業で取組みが進展し、投資家からも意識の変化や取組みの進展を評価する声が寄せられているとし、積極的に取り組む企業を中心に資本収益性や市場評価の向上が見られると説明している。あわせて、今後の取組みや対話に役立ててもらうため、これまでの進捗や課題、今後の東証の取組みを取りまとめたとしている。

関連会議での資料公表

東証の「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」のページでは、2026年10月14日開催の第30回の資料1として「資本コストや株価を意識した経営」に関する4年目の現状と今後の取組みについてが掲載されている。同ページは2026年10月27日更新とされており、第27回(2026年4月7日開催)でも「資本コストや株価を意識した経営」に関する4年目の取組みが資料1として示されていた。

開示状況の進展と市場間の差

法律メディアの解説記事は、三菱UFJ信託銀行の「証券代行ニュースNo.241」の特集を元に編集したものと明記したうえで、2026年2月末時点でプライム市場の93%、スタンダード市場の51%の企業が何らかの開示を実施したとしている。プライム市場では71%が初回開示後に内容をアップデートした一方、スタンダード市場では未開示企業が半数弱を占めるとされる。未開示の背景として、プライムでは高収益の単一事業モデルや将来の不確実性の高さからあえて開示しない企業があること、スタンダードでは社内リソース不足や経営層の理解不足、資本コスト算定への不安が障壁となることが示されている。

PBR・ROEの改善と国際比較

同じ解説記事によれば、PBR1倍割れ企業の比率はプライム市場で27%(前年比▲23pt)、スタンダード市場で49%(前年比▲15pt)に低下し、ROE8%未満の企業もプライムで43%(前年比▲4pt)、スタンダードで60%(前年比▲3pt)に減少した。一方、国際比較では日本企業は成長期待の高い企業群が少なく、PBR2倍以上・ROE10%未満といった企業群が少ない点が構造的課題として示されている。

企業・投資家の認識ギャップ

解説記事は、企業側では株主還元や政策保有株の見直しが比較的進んでいるとの認識がある一方、多くの投資家は事業ポートフォリオの見直しや経営資源配分の見直し、最適なバランスシート構築の検討が十分でないと認識していると指摘する。自己資本や手元資金の水準についても、企業は「適正水準」と捉える割合が高いのに対し、投資家は「余裕のある水準」と認識する傾向があるとされる。

企業・産業への影響

東証の要請は上場企業の経営開示と投資家対話の枠組みに関わるため、開示を迫られる企業側には、資本コストの算定や資本配分方針、取締役会での議論状況の説明といった実務対応が引き続き求められる可能性がある。特にスタンダード市場では未開示企業が相対的に多く、社内リソースやノウハウの制約がある企業にとっては、東証が示すセミナーや個社訪問、事例集などの支援策の活用が対応の糸口になり得る。また、投資家との認識ギャップが示されている点を踏まえると、開示の有無だけでなく、事業ポートフォリオや資本配分の説明の具体性が対話の評価を左右する可能性がある。ただし、これらの影響は資料で示された開示状況や認識に関する記述に基づく見通しであり、個別企業の業績への効果を直接示すものではない。